3月6日(日)あいち生協も加盟する「遺伝子組換え食品を考える中部の会(以下中部の会)」
主催による映画上映と講演会「アメリカで広がる健康被害 ~TPPで次は日本だ!!~」
が名古屋市教育館で開催され、約164名もの来場者が詰めかけました。
TPPによって関税が撤廃または大幅に引き下げられ、海外産のGM食品、畜産品が大量に日本に入って来ようとしています。
食の不安が高まる中、健康への影響を中心とするGM食品の問題点を掘り下げ、
GM作物の栽培に加担しないために消費者として今できることは何かを考えるために、
前半は「遺伝子組換えルーレット」上映、後半は河田昌東氏(中部の会代表)講演が行われました。
●ドキュメンタリー映画
「遺伝子組換えルーレット ‐私たちの生命のギャンブル‐」上映
企画(原著)Jefferey M. Smith
<急増する健康被害との因果関係>
GM作物の商業栽培開始から約20年。アメリカではGMトウモロコシや大豆の栽培面積拡大と比例して、アレルギー、糖尿病、自閉症、不妊、出生障害などの慢性疾患が急増しました。
また、GM飼料を食べた家畜も出生異常、不妊、自閉症など健康被害が報告されています。
GM食品を食べることで小腸に細かい穴が開いたことが原因だと医師は証言し、
症状の多くは食品をオーガニッに変えて改善したと健康被害の当事者たちは語ります。
<安全性審査の問題点>
モンサント社の安全審査はずさんそのもの。
GM大豆の安全審査に使うタンパク質は、GM大豆から抽出したものではなく、
大腸菌で作られたもので代用しています。
更に、455個あるアミノ酸のうち15個しか分析していません。
GM大豆の急性毒性の検証はラット10匹に4週間投与するのみ。
長期摂取や次世代毒性のリスクは一切検証していません。
(他の研究者が3年間マウスに投与した結果、半年以降に腫瘍などの異常が急増した)
<抗生物質耐性菌発生の問題>
殺虫性GM作物に組み込まれる殺虫遺伝子は、
抗生物質の液体に漬け込んだ土壌のバクテリアの中から、生き残った菌を抽出して使います。
この抗生物質耐性を持つ殺虫遺伝子が入った作物を食べると腸内に抗生物質耐性菌が出現します。
アメリカのスーパーでは、鶏35%、七面鳥24%、豚16%、牛6%に
抗生物質耐性サルモネラ菌が確認され、アメリカ人の23%は抗生物質耐性菌保持者です。
年間5,200人もの人が食中毒で亡くなっています。
対策としてアメリカでは、抗生物質耐性サルモネラ菌を殺すため、
食肉に放射線を照射していますが、発がん性物質が生成されるという新たな問題を生んでいます。
<残留農薬の増大>
GM栽培国では、除草剤耐性GM作物の栽培を繰り返すうちに、
除草剤に耐性を持つスーパー雑草が増え、それに伴い農薬使用量は増加傾向です。
また、より強力な有機塩素系農薬(ベトナム戦争で使われた枯葉剤2,4-Dやジカンバなど)が使われています。
モンサント社は、栽培国や輸入国に対し農薬の残留基準値を大幅に引き上げるよう、
また有機塩素系農薬の使用を認めるよう要請し、各国がこれを受け容れています。
<成長ホルモンの問題>
アメリカでは搾乳期間を延長し、より多くの牛乳を搾るために、
大腸菌で作った成長ホルモン剤を乳牛に注射します。
これが原因で、牛乳や牛肉にIGF-1という発がん性を持つ物質が生成されます。
昨年アメリカで認可された2倍の早さで成長するGMサケに関してもIGF-1が通常の1.5倍と高い数値を示しています。
<TPPで高まる不安>
遺伝子組換えの真の目的は、種苗の寡占化、特許による種子支配、グローバリズムによる世界の食糧支配。
TPPもその一環です。農畜産物の関税を撤廃、又は大幅引き下げにより、
日本の農業は壊滅的になり、安全性の低いアメリカの牛肉や豚肉の輸入量は拡大します。
TPPに含まれるISD条項には、企業が相手国を裁判に訴える権限が認められています。
例えばモンサント社が日本の遺伝子組換え表示を不当であると提訴した場合、
日本政府が敗訴し、多額の賠償金支払いを命じられる可能性が十分考えられます。
今はまだ国内では青いバラを除きGM作物の商業栽培はされていませんが、
北海道の帯広市がモンサント社から栽培地のターゲットにされています。
講演内容は動画でもご覧いただけます。