福島原発事故から5年が過ぎようとしている 3月5日(土)、名古屋市西区文化小劇場で開催した 「小さき声のカノン」映画上映会&ダキシメルオモイ作品展に42名の来場がありました。 前半は、「六ヶ所村ラプソディー」、「内部被ばくを生き抜く」などエネルギー問題の ドキュメンタリー映画を撮影する鎌仲ひとみ監督の最新作「小さき声のカノン」上映会、 後半は、親が子を抱きしめる姿を家族のオモイを込めて描く「ダキシメルオモイ」 プロジェクトに取り組む画家の小林憲明氏による講演がありました。
◆「小さき声のカノン ―選択する人々」上映会 放射能と戦う決断をした母たち 福島県二本松市在住の佐々木るりさんは、お寺の住職の夫道範さんと共に、 寺務職の傍ら寺に隣接する幼稚園の先生で、5児の母。 原発事故後、一旦は幼い子を連れて新潟に避難。 しかし、一人の子が父親との生活を望み、ストレスで体調を崩し、 二本松に残る苦渋の決断をします。 「小さな我が子がここで暮らしていていいのか」、 迷いや葛藤を抱きながらも、子どもを放射能の影響から守るために、 食品の放射能測定や子どもの内部被ばく検査を継続しています。 夫の道範さんも園や寺の周辺を毎日除染し、 子どもたちが園庭で安全に外遊びができるようにと 懸命な努力を続けています。 そんな佐々木夫妻のお寺には全国からたくさんの野菜が無償で届きます。 近隣住民や園児の母たちにこの野菜を配ってお裾分けしているうちに、 「子どもを被ばくから守りたい」「野菜を受け取るだけでなく力になりたい」 と園児の母たちが協力してくれるようになります。 自らを「ハハレンジャー」と名乗るこの母親たちは、 誰かにすがりたい気持ちを抑え、 「国が何もしてくれないなら自分たちでするしかない」と、 野菜の青空市の開催、通学路のホットスポットの除染などを自主的に実施しています。 また、子どもたちの健康のために力を入れているのが「保養」です。 保養とは、汚染されていない地域で、夏休みなどを一定期間過ごし、安全な食べものを食べ、 子どもの内部被ばく線量を下げるための合宿です。 子どもは代謝が活発なため、保養で劇的に内部被ばく線量を下げることが分かっています。 これらにかかる費用は、野菜の青空市やカンパなどで賄われているのが現状です。 ベラルーシでは チェルノブイリ原子力発電所事故から30年が経ったベラルーシでは、 事故当時子どもだった世代の子、孫の世代まで 免疫機能低下、貧血、倦怠感、先天性異常などに悩まされています。 そして30年が経った今も甲状腺ガン患者は増え続けています。 脊椎れんけつ症の患者にはマッサージ、喘息の患者には水と塩で生成したイオン治療、 ミネラルを含む蒸気治療などの自然療法が施術されています。 また海外の保養も積極的に行われ、行政によって保養所も建設されています。 監督:鎌仲ひとみ プロデューサー:小泉修吉 音楽:Shing02 撮影:岩田まきこ 録音:河崎宏一 編集:青木亮 助監督:宮島裕 製作・配給:ぶんぶんフィルムズ 2014年/日本/119分
◆ダキシメルオモイ作品展示 小林憲明氏講演
新潟県出身で愛知県田原市在住の画家、小林さんは現在2児の父。
レンブラントの絵画に憧れて画家の道へ進みました。
2006年に新潟中越地震を経験し、得意な絵を生かしてできる支援として親子の絵を描くことを決意し、
「今ある人を大切にして欲しい」という想いを込めてダキシメルオモイを画き続けています。
モデルはSNSやインターネットで募り、申し出のあった家族を取材し、
何枚もの写真を撮影して、親が子を抱きしめる姿を麻布に描きます。
目標は20年で1,000家族を描くこと。
「将来的にはダキシメルオモイの展示でお金が集まる仕組みを作り、
保養の費用を捻出したい」と夢を語ります。
因みに、最初のモデルに手を挙げたのが、「小さき声のカノン」にも登場している佐々木るりさん。
佐々木夫妻の務める寺で作品を展示した際に、鎌仲監督と出会ったことがきっかけとなり、
映画上映と絵画作品展示との共演が実現しています。